産後におけるからだの変化
2013年10月18日(金)
当院に産後に体調を崩されて来院される患者さんが多くみられます。
例をあげると、
・腰が痛くて子供さんを抱っこできない
・手首の腱鞘炎が悪化した
・起床後に腰が伸びない
・靴下を履く際に腰が痛む
・身体の疲労感が取れにくくなった などその症状は様々です。
なぜ産前にはなかった事が起きるのでしょうか?
それは、直立二足歩行を獲得したヒトの骨格(骨盤)と脳の大きさが主な要因として起きていると考えられます。
骨盤は左右の寛骨(かんこつ)・仙骨(せんこつ)・尾骨(びこつ)で成り立っており、骨と骨の結合を強固にする靭帯(じんたい)があります。
(靭帯:イメージとしては積み上げられた積み木を倒れないように補強するセロテープやガムテープのようなもの)
ヒトの産道はS字状の急カーブをともなっています。それに対してヒト以外の哺乳類の産道は簡単にいうと直線の円筒のトンネルです。
ヒトの産道がS字のカーブを描いているのが分かります。ヒト以外の哺乳類の胎児は障害物のない一本道を出てきます。
それに比べると、ヒトの胎児は大きな頭を通すために曲がりくねったギリギリの道を回旋しながら出てきます。
そのためヒトは産道を確保するためにホルモンの働きにより最大限まで骨盤の靭帯を緩めます。
他の哺乳類にこういった現象は少なく、産後に歩行機能が極端に低下するのも人間だけの特徴です。
産後の骨盤は非常に不安定な状態にあるため、それが原因となってさまざまなからだの不調を起こしてしまいます。
からだは不調のままなのに、子育てに追われ自分自身のからだのメンテナンスは後回しになっている方も多いようです。
当院では骨盤を安定させることに重点をおいています。
そして、安定性を維持させるために生活指導(特に腹帯はとても大事)は非常に重要です。
産後でお困りの方がおられましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献:奈良貴史 ヒトはなぜ難産なのか 岩波科学ライブラリー
カテゴリー : 妊娠・出産・産後について